戦略について学習すると、早い段階で「コアコンピタンス」というキーワードを目にします。
今回はコアコンピタンスについて、解説します。
1.コアコンピタンスとは
コアコンピタンスとは、他社を圧倒する能力を示します。
1990年、ゲイリー・ハメルとプラハラードが寄稿した「The Core Competence of the Corporation」の中で初めて登場したと言われます。
他社を圧倒する能力とは、例えば他社と比べて圧倒的に優れた保有技術です。
コアコンピタンスは技術に限りませんが、広く知られる例にはホンダのエンジン技術やソニーの小型化技術があります。
コアコンピタンスには3つの要件があり、ソニーの小型化技術を例に示します。
要件①顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、屋内外に持ち運びできる
要件②競合相手に真似されにくい自社能力
ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、カバンやポケットに入るほど小型・軽量である
要件③複数の商品・市場に推進できる自社能力
ウォークマンからポータブルCD、ポータブルTVへと展開できる
2.コアコンピタンスの5つの評価軸
保有技術からコアコンピタンス、つまりコア技術を選定するために、以上3つの要件を満たすことが条件となります。
実際にコアコンピタンスを選定する時には、5つの評価軸を使います。
①模倣可能性(Imitability)・・・真似しやすい技術か否か
②移動可能性(Transferability)・・・他の商品、事業に展開できる技術か否か
③代替可能性(Substitutability)・・・代わりとなりうる技術があるか否か
④希少性(Scarcity)・・・技術や特性が希少か否か
⑤耐久性(Durability)・・・長期間、競争優位な技術か否か
コアコンピタンスは模倣可能性、代替可能性が低く、移動可能性、希少性と耐久性が高い技術がベストです。
しかしながら、全てが満足する技術がない場合もあります。
この場合の1つの方針として、移動可能性と耐久性が高い技術を抽出し、研究開発テーマを設定する。
テーマを継続し、模倣可能性と代替可能性が低く、希少性が高い技術へと育成することで、将来的に5つの評価軸全てを満足させる方法です。
3.コアコンピタンスの評価手順
最後に自社のコアコンピタンス(コア技術)を定義するための手順を解説します。
①コアコンピタンスの仮説・・・QFD展開などを活用し、保有技術の中から、コアコンピタンスとなりそうな技術を抽出する。
②ベンチマーキングによる検証・・・他社技術と自社技術を同条件で評価し、優位性を確認する。
③5つの評価軸による評価・・・優位性ありとした技術について、先に示した5つの評価軸を使い、コアコンピタンスを選定する。
コアコンピタンス評価は長期間かけて選定するのではなく、R&D部門内において2~3ヶ月程度で行うことを推奨します。
これは技術革新が急速に進む現代の技術開発には、必要不可欠です。
なぜなら顕在する他社以外にもベンチャー、外資企業といった潜在する競合に打ち勝つために、コア技術を早く選定し、圧倒的なレベルに育成することが重要だからです。
当社ではコアコンピタンス(コア技術)を活かした開発テーマ選定および推進を支援しています。
お気軽にお問い合わせください。