最終回となる「科学技術白書を考える(第四回)」では、第3章 未来社会に向けた研究開発等の取組を取り上げます。
引用元:こちら第3章
この章では以前ブログでも紹介した「ムーンショット型研究開発制度」の取り組みをはじめ、「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」、「日本科学未来館」における実証実験などを紹介しています。
これらの取り組みの中で個人的に注目しているのは、「スマートシティ」です。
紹介されているようにパナソニック株式会社のサスティナブル・スマートタウンやトヨタ自動車株式会社のウーブン・シティは非常に有名ですね。
突然ですが、ここで質問です。
「スマートシティ」に対してどんなイメージを持っていますか?
「儲けがほとんどない」「どこも苦労しているようだよ」とビジネスとして否定的な考えを持つ人もいます。
確かに直近1〜3年はビジネスとして旨味がないかもしれません。
これは捉え方の違いなのですが、①直近のビジネスとしてだけ見るか、②社会課題を解決する実証実験とし将来のビジネスとして見るかが、抱くイメージの差が生まれます。
第1-3-4図/スマートシティの概要 を見渡すと、概要版:2040年の社会のイメージ「⼈間性の再興・再考による柔軟な社会」と非常によく似ていることに気づくでしょう。
共通する技術キーワードは、「コネクティッド」や「データ活用」などがあげられます。そして両者が表現していることをシンプルに言えば「ありたい未来の姿そのもの」です。
私の解釈では、スマートシティは将来のありたい姿を実現するための実証実験の場であり、時代をリードするモデル都市です。
日本企業は、直近のビジネスとして既存事業を継続しながらも、研究開発テーマは直近の利益のみを追求しすぎず、ありたい社会を実現するための技術獲得を行って欲しいと切に思います。
しつこいくらい当社がお話ししているように、
研究開発テーマの設定は、
①既存事業と新規事業の両軸で進める。
②既存事業と新規事業の重み付けを変動させる。
2つを並行することで、確実に直近の利益と将来の売り上げのための施策を進めていきましょう。