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選択時に注意したい認知バイアス

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新規事業の方針や開発テーマなどを決める時、どんなことを意識していますか?
市場ニーズや保有技術の有効活用といった視点から、分析結果にもとづき、選定していると思います。
既定路線に限らず自社の方針を決定する際は、より一層の多角的な判断が重要です。

多角的な判断を阻害する要因として、認知バイアスがあります。
認知バイアスとは、直感や過去の経験をもとに先入観を持つことで、偏りがある非合理的な判断をする現象です。

では、実際の開発現場で起こった認知バイアスの例を紹介します。

例1)競合分析
世界シェア1位を獲得していた電機メーカーがありました。
当然、開発現場の士気は高く、技術に対する自負もあり、当分はこのままシェアを独占するだろうと言われていました。
ある時、新規参入して間もないメーカーのサンプルを入手し、ベンチマーキングを行いました。
しかし当時の開発現場には、新参者に我々の技術を超えることは不可能だという考えが根深く、簡易検査に終始したのです。
結果、数年後にはシェアを取られ、いまだ同じ状況が続いています。
これは、自社が世界No.1であり続けるであろうという先入観が働き、まともにベンチマーキングをしなかったことが要因の一つといえるでしょう。

例2)開発活動
日常の開発現場でも同様の事例がありました。
あるメーカーでは既存事業が売り上げの約半分を担っていました。
新規事業担当の開発組織が既存事業と新規事業の両方で活用できる、つまり全社メリットがある技術開発テーマを提案しましたが、稟議が通りません。
ここでも直近の利益をもたらす技術・開発担当者の方が、新規技術・開発担当者よりも優れているはずだという先入観が働きました。
もちろん提案の仕方や時期が悪いといった他の要因もありますが、先入観が働いているか否かは直感的にわかるものです。
この場合、決裁者は相手の肩書やキャリア、現時点での事業貢献度に限らず、聴く耳を持った上で客観的に判断する必要があります。

最後に戦略や開発テーマを選択するにあたって、後悔しないために実践してほしい項目を紹介します。
①反対意見を入れる。
一つの意見に多数の賛成者が集まるのであれば、あえて反対意見を加え、分析や議論を行います。
反対派、賛成派を半分ずつアサインして進めるとよいでしょう。
単に反対、賛成ではなく条件付き賛成派など多角的に分析を行うことで納得性が得られます。

②中立的な立場の人を入れる。
賛否様々な分析結果を元に議論する場では、中立の人をアサインします。
残念ながら正式な稟議の場では、決裁者であっても多少の認知バイアスがかかるものです。
このような場合、提案者、決裁者の他に他部門などの中立者が出席し、場をまとめることが有効です。

今回は「戦略や開発テーマなど重要な決定では、認知バイアスに注意し、多角的な分析・討議を行う」について解説しました。

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