今回は「人材育成のコツ:褒める・叱る」というタイトルで解説します。
ここ1年の大きな環境変化として外せないのが「業務のオンライン化」があります。
それまでは一日の大半が会議で埋まっていた企業のリーダーの中には「オンラインへの移行で不要不急の進捗会議が減って良かった」とおっしゃる方も多くいます。
形式的な定例が減ることで、業務効率や生産性があがるという意味では良い変化ですね。
一方で、こんな声も耳にします。
オンライン業務で一人業務が増えたことが影響したのか、新人や2~3年目の若手社員の育成が思うようにできない、自発的な意見や行動が見られない、開発業務に消極的だ・・・といった悩みです。
イノベーションを起こすことをミッションとする新規事業企画や研究開発のメンバーは、たとえ新人であっても、自発的な行動が求められます。
上司が具体的に細かい業務を依頼するケースは、ほとんどありません。
今までにないイノベーティブ商品を創出するためには、活躍人材の育成が不可欠です。
活躍人材は、何もエリート大学出身者である必要はなく、正しい育成により、誰でもなりえます。
それでは活躍人材を育成するためには、何が必要でしょうか。
一つの方法として、メンバー一人ひとりに「褒める×叱る」を行う育成を推奨しています。
「褒める」効果とポイント
褒めることは、相手のモチベーションを高め、さらなる成長へと促す効果があることは、もはや常識となりました。
しかしリーダーの中には、褒めることが苦手な方が多いというのも現実です。
これは、企業のマネージャー層は若手時代、褒められない文化で育った方が多いことが一因だと考えられます。
過去に上司や先輩から「こんな設計をするなんて、馬鹿か!?」ぐらいは平気で言われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身、ズタボロに叱られた記憶が数えきれないくらいあります。
褒めることに苦手意識を感じているのであれば、「部下がこだわり・工夫した業務の中で、良い点」を褒めましょう。
1つでもいいので、本人が注力したところを具体的に褒めることで、自発的な工夫へとつながるはずです。
反対に悪い褒め方は、「この仕事をしてくれて助かったよ」といった漠然としたものです。
これは「この間の資料ありがとう。図表が簡潔で分かりやすいと事業部長会議で褒められたし、営業資料として使われることになったよ」など具体的に褒めるようにしましょう。
「叱る」効果とポイント
叱ることもまた、相手のモチベーションを高め、さらなる成長へと促す効果があります。
「叱る」は「怒る」と違うと言われます。
2つの違いですが、叱るは相手の成長を思い、業務への指摘や改善プランの提示を行うこと、怒るは自分のイライラや不満を感情として相手にぶつけるものです。
自発的な活躍人材へと成長させるためには、もちろん「叱る」を意図的に行います。
部下が不注意によるミスをした場合や組織方針とは異なる身勝手な行動をした場合には、素早く、具体的に何が悪いのか・その行動によりどんな影響があるのかを伝えてください。
特に対象の行動が与える影響については、部下は気づいていないことが往々にしてありますので、「叱る」を活用してください。
「褒める」同様に「叱る」ことが苦手なリーダーも多くいます。
もし、どうしても感情が先行してしまう傾向があるのならば、一度深呼吸をして落ち着いてから伝えるフローをとりましょう。
まずは一呼吸を置くことで感情と切り離す。
そして、部下の行動=事実と、その影響度と改善プランに焦点をしぼることで、叱ることに対するハードルが低くなります。
また、改善プランは先出しせず部下に考えてもらうことで、より自発的な人材へ育成することができます。
今回は「対面による共同業務が減っている今こそ、褒める・叱るの組み合わせで自発的な活躍人材を育てることが重要である」について解説しました。