マネージメント層の方とお話をすると必ずと言っていいほどあがる悩みがあります。
新規事業の企画、開発にたずさわるメンバーが「しんどい」「向いていない、担当を変えて欲しい」「今まで通り、研究開発に戻りたい」とネガティブな状態になってしまうケースです。
前回の記事では、新規事業の開発が進まず苦しむ理由と、開発メンバー自らが解決するための策を解説しました。
前回記事:新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:開発担当者
今回より、マネージメント層が解決するための策を前半・後半の全2回にわたって解説します。
次世代リーダーを育成するために、見込みがある中堅・若手メンバーを新規事業の企画・開発にアサインしたものの、やめたい・しんどいと感じる理由にはどんなものがあるでしょうか。
ご支援する中で多いと感じる理由はに以下があります。
①既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない
②事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない
マネージメント層が「新規事業×しんどい」を解決する策 前半の今回は、前者の「既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない」に注目します。
新規事業のアイディアには、事業の新たな柱になること≒既存事業相当の規模を求めることが多くあります。
この既存事業と同規模の事業アイディアを出さなければならないことが、メンバーにとっては出来そうもない、プレッシャーを感じさせるケースがあります。特にニーズが多様化し、変化が激しい現代において、数十年間、安定して一定規模以上の売り上げを確保する商品を企画することは至難の業です。
だからといって、事業アイディアとして目標の事業規模を半分にしましょうというつもりはありません。
既存事業と同規模となるためには、新規事業が世にリリースされ、一定期間を経て産業化が進み、プロダクトポートフォリオマネジメントにおける「金の木」になるころに実現するべき最終ゴールであることを明示した上で計画・活動します。
つまり、事業開始~初期の一定期間(製造業の場合、3~5年程度が多い)はターゲットを限定し、一歩 一歩着実に売り上げを獲得する時期であり、多くのケースで既存事業と同規模とならないことを許容することになります。
事業開始~普及までの売り上げ推移イメージについては当然、マネージメント層は理解されていますが、開発メンバーには伝わっていない・イメージできていないことが「出来そうもない」の根本にあるようです。
事業アイディアを企画としてまとめるにあたっては、事業開始から事業が安定するまでを通して行いますが、アイディア出し~初期開発の段階で既存事業の事業規模を保証することはできません。
アイディア出しにおいては全体の市場規模の算定にとどめ、自社が占有率を獲得する方法論の言及は控えた方がベターでしょう。事業アイディア稟議の後に仮説検証を通して、事業化開始から一定期間を経てターゲットを拡大する、ラインナップを拡充させるといった事業戦略を構想し、事業性の見込みがあるかを検証します。
この一連の流れをマネージメント層とメンバーの間で意識合わせすることが、「既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない」の緩和につながると考えています。
当社では事業アイディア出しと開発ステージにおける市場規模の算出、市場占有率の見極め、事業戦略の立案を並走する支援しています。