昨今、研究開発の現場においても、自らが新規事業を立ち上げるというミッションが課せられるようになりました。
この流れの中で、研究開発リーダーからこんな悩みを相談されることが多くあります。
「どんな目標を設定すればよいのか?」
「経営陣からは、成功を前提としたリスクがなく、利益を創出するテーマを設定してほしいとオーダーを受けるが、目標への落とし込みが難しい」
「開発現場からは、斬新なアイディアが上がってくるが、リスクを考えると手が出せない」
このようにリスクなく既存事業並みの売り上げを目指すテーマを創出する、従来の研究開発のミッションを超えることで発生した悩みです。
特に新規性が高い商品とリスクゼロ商品の両立は、矛盾しているといっても過言ではないでしょう。
このような場合、研究開発リーダーは組織目標をどのように設定すればよいのでしょうか。
答えは「2つの視点で目標を設定する」ことです。
簡単に言えば、難易度が高い目標と平均的な目標を設定することで、開発の全敗を抑止します。
1.達成が難しい挑戦的な目標
事業性が高く技術開発の新規性も高い、達成する可能性が比較的、低い(1%~50%)挑戦的な目標を設定します。
うまくいけば成功事例として社内外にPRできますが、失敗するリスクを考えると躊躇するテーマが該当します。
2.達成見込みが高い平均的な目標
既存事業で既に活用しているコア技術など、達成する可能性が比較的高い目標を設定します。
経営層、開発現場ともに安心してコミットできるテーマが該当します。
また新規性が高いテーマであっても、ルールやフローといったプロセス構築を目標とするケースも該当します。
このように新規事業開発リーダーは、挑戦的な目標のみを掲げるのではなく、ステークホルダー全員が安心して開発を進めるために平均的な目標を設定することを実践してください。
ステークホルダーの中には、挑戦・改革を好む人物も、安心・安全を最優先にする人物も混在しています。
多彩な環境の中で、新規事業を成功させるためには両者が納得できる目標を設定することが、リーダーのミッションです。
今回は「新規事業リーダーは決裁者の納得性を高め、メンバーの士気を上げるために2つの視点で目標を設定する」について解説しました。